羽田拡張反対!

 通、航空ファンや旅行リピーターなら羽田拡張賛成!と言う人が多いでしょう。
滑走路が増えれば、飛行機も増え、国際線も飛ぶようになったら便利だし、言う事が無いじゃないと・・・
 しかし、本当に羽田を拡張してもっとも利益を得るのは誰でしょう。私達、利用者かも知れません。では、不利益を被るのは誰でしょう。それは私たち都民いや人間なのです。

 私が危惧しているのは、米軍空域がある為に、羽田発着の出発コースと着陸コースがかなり制限されているので、3本目の並行滑走路を造ってもかなり離発着に制限が掛かります。
特に夏場の南風の時期には、品川方向から進入しますが、お台場南を経由して天王洲アイルのビル(JALの本社)にめがけて進入し、左旋回して滑走路に向かうコースとなっており、ストレート部分が短く同時進入には向いていないのです。
国土交通省がこの状況を打開する為に渋谷方面から進入するルートを調査した際に、都心を飛ぶ有視界航法機(ヘリコプター等)が多くルート開設が難しいとのコメントを出しており、そこで、国土交通省は横風用滑走路設置案を出したと言う話もあります。

じゃあ、横風滑走路を造ればいいじゃんと言う話になりますが、横風滑走路を造ると、私が最も危惧して「人間が不利益を被る」と書いた事が起きるのです。それは東京湾の死滅です。

東京湾は瀕死の状態です。高度成長期時代に汚水で汚れた海はその後の汚水処理で回復してきましたが、最近は汚染が毎年悪化しています。
羽田沖から横浜沖には常に赤潮が発生する状況で拡大の方向にあると思います。なぜかと言うと、私は、江戸川河口から釣船に乗り、湾口まで行きますが、行く度に赤潮の面積が広がっているからです。 今の赤潮の原因には、汚水では無く埋め立てによる自然循環機能が失われ汚れを処理出来ないのです。東京湾は我々の生活に切ってはならないものです。

 ヒートアイランド化現象も東京湾のお陰で可成り緩和されていて、もしここが無かったら、もっと酷い事になったでしょう。 羽田沖は、隅田川水系と多摩川水系の合流地点でもあり、羽田空港の沖合展開によりかなり海流が変わってしまいました。もしさらに沖合展開や横風滑走路を造ると隅田川水系の流れが羽田沖で留まってしまい、さらに環境悪化が進みます。ひいてはお台場あたりの海に悪臭がただよう事も考えらます。

 なんだ、自然保護派なんだと言われても仕方ありません。しかしそれが東京の現実なのです。 じゃあ、これから増える航空需要にどうすればいいんだと言うと、国が米軍空域の返還若しくは縮小交渉を始めるのが急務だと思います。まだ交渉しない段階から滑走路を造ると言う話をすること自体が、利権政治の元なのです。
 石原都知事が公約としている、横田基地の返還については、実現はかなり難しいと思います。

空域が戻ったとしても、それでも需要が逼迫するのであれば、自衛隊下総基地の民間共用を計るべきです。
 同基地は、梨で有名な千葉県の鎌ヶ谷市にあり2250m滑走路を持ってます。今成田に造ろうとしている暫定滑走路とほぼ同じ長さです。
さらに、基地南部には北総鉄道が走っており、この路線は成田空港まで延長し都心と成田空港間を30分台で結ぶ事が運輸審議会で提言されており、国・県とも来年度から調査を開始する事になっています。 第三空港として条件的には良い場所と思います。若干滑走路が短いがB767クラスまでなら発着可能な筈です。

 北総線は都営地下鉄・京浜急行とも乗り入れており、羽田空港まで線路が繋がっているのです。
成田空港まで路線延長されれば、下総基地・成田空港間は15分〜20分程度で結ぶ事が可能だと思います。
下総基地は主に地方空港路線を担当させるか新興航空会社に使わせる。むろん着陸料などは羽田の半額位に設定するなどして誘致する必要はあるでしょう。
弱点は、都心からのアクセス道路が可成り厳しいと言うことです。しかし、この北総線の両脇を外環から分岐して成田空港まで高速道路を造る計画があるのです。この道路が実現されればかなり状況は変わると思います。

 地元の鎌ヶ谷市は下総基地の民間共用化には消極的なようです。
確かに騒音問題など環境面でかなり影響が出るかと思いますが、経済効果は千葉県の西端部にとって計り知れないものがある筈です。


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平成13年6月10日書